敏腕経営者が走り始めるに至ったワケ〈2〉
アミノサウルスの開発・展開をはじめ数々の事業を成功に導いてきた敏腕経営者にして、マラソン2時間25分43秒の自己ベストをもつ強豪市民ランナー嵜本晃次さんは、なぜ走り始め、トライアスロンで世界の頂点に挑むに至ったのか?TRIBizeezを主宰する小嶋隆三さんが、訊いた。
前編はマラソンからトライアスロンを始めた理由を語っていただきましたが、後編はビジネスとトライアスロンの関係について詳しく語ってくれました。
やりたいことがあるから時間を区切って効率良く
小嶋隆三さん(以下、小嶋) ビジネスパーソンとしてマラソンやトライアスロンをやってて良かったなと思うことは?
嵜本晃次さん(以下、嵜本)
僕はアミノサウルスだけでなく、不動産業などいろいろなビジネスをやっているので、ともすると、いろんなことをズルズル考えてしまう。これもやらなあかん、あそこにも連絡しなきゃあかん……と、考え込んでしまう奴だったんですけれど、走り始めるようになって、時間をしっかり区切れるようになった。
朝は練習、お昼までこっちの仕事、昼からは別のこっちの仕事。で、夕方からはラン。1時間半、2時間、昼休憩、2時間と、区切れるようになってきて……いや、そうしなければ(マラソンでの目標達成には)全然間に合わなくなってきたんです。
そうやっていくうちにズルズル・ダラダラしてたのが、グッと、時間の使い方が良くなった、これがひとつ良かった点ですね。以前は、メール返さなあかんけど、後でいいか……とか、そんなことばっかりでしたが、今は、やらなあかんことはさっさと終わらせる。
小嶋 もともとそういうスタイルの仕事の仕方じゃなかったんですね。
嵜本 そうかもしれないですね。運動することで、本当に頭の質も変わると思うんですよ。性格も変わるし。
小嶋
確かにトライアスロンとか、マラソン大会に出るようになると、タイムマネジメントがうまくなりますよね。1日24時間しかないうち、睡眠時間が6時間だったら、もう18時間しか残らない。
僕の場合は、歯科医としての診療が9~6時まであるから、残りの9時間で家のことや育児にも時間をかけつつ、トレーニング時間をつくるとなると、分けざるをえない。
嵜本 僕の場合は、やらなきゃあかんことは大きくいくつかあって、それらに優先順位をつけていくという感じですが、お客さんや患者さんがいるお仕事の場合、そうはいかないですよね。
小嶋 でも、最近は「自分の人生における目標って何だろう?」と考えて、仕事のほうの時間を調整して、自分の時間をつくるとか、そういう優先順位付けもやり始めました。
嵜本 僕ら、もちろん仕事があっての生活であり、トライアスロンだと思うんですけど、ただできる限り長く仕事しているだけでなく、ちょっとでも、その仕事を短くできる余地があるなら、短くして人生を楽しみたいですよね。
小嶋
松下幸之助も言ってましたが、日本人は長い時間、仕事するというのが美徳とされてきて、額に汗してやることが尊いものだと言われてきましたが、一方で、その仕事をもっと効率化して、少しでも自分の時間をつくって、最大の成果を出す、それもひとつの美徳。
それこそが「進化」であり、目指すべきものじゃないかと。江戸時代に東海道五十三次を汗かいて移動してたのが、汽車になり、新幹線になりと、段々汗をかかずして効率良く、進化している。事業も、自分でずーっと頑張ってやるというのもいいけれども、それってあまり進化はしていない。それは考えるべきだなと。
嵜本
絶対そうだと思います。その進化のきっかけをつかむという意味でも、マラソンやトライアスロンをやってみるというのは、いいですよね。
それと、トライアスロンをやっていると、自分みたいな経営者もいれば、小嶋さんみたいな経営者もいる。面白い人たちとたくさん出会うんですよね。自分はこの1年で、トライアスロンやっている人たちの、いろんな色合いを見ることができました。
仕事を一緒にするんじゃなくて、その人のライフスタイルはどんな感じなのかを垣間見て、それを自分の中にも取り入れていきたいなと、思うことはありますよね。
例えば練習の時間の使い方。なんでみんな朝イチからスイム行くんやろと。長いコトやっている人ほど、そのルーティーンが決まっているので、それをマネして、自分の中で何がおこっているのか見きわめて、自分のスタイルをまた変えていく。それも面白いなと。
ナッツを食べるだけより腹もちが良くて、美味しい
小嶋 パワグラも食べていただきましたが、どうですか?
嵜本 まず美味しいし、オーガニックな食材を使っていていいですよね。食感も良いのでバイクに乗ってるときのおやつというか、補給食として食べるのもアリですよね。変な甘みがないし。僕はよくナッツ系を間食として摂るんですけど、お腹いっぱいにはならない。パワグラは腹もちがいいですよね。
小嶋
ある知り合いが、うちと同じオーブンでグラノーラをつくってみたというので、レシピを聞いてつくってみたら、すごくおいしくできた。それで、うちの管理栄養士にこれをアスリート仕様にできないかと。
それでつくったのがパワグラなんです。今、これをベースに補給食がつくれないかも考えています。補給食って甘めのものが多いじゃないですか。そういう中で、甘過ぎず、身体に良いモノで補給できて、かつ必要なアミノ酸が摂れるというものなんて、どうでしょう?
嵜本 いいかもしれないですね! ぜひ、何か一緒にできないか、考えましょう。
嵜本晃次Koji Sakimoto
サウルスジャパン株式会社代表。アミノサウルスに代表される「SAURUS」シリーズのサプリメントを手がけるほか、不動産・ホテル事業も展開。経営者として手腕を振るう傍ら、マラソンランナーとしても活躍。2022年に本格参戦したトライアスロンでは天草、福岡、今治で年代別優勝、JTUエイジランキング(40-44歳)の年間チャンピオンに輝く。ランニングやトライアスロンをめぐる自らのスタイルを発信するYouTube「SAKI RUN サキラン」は登録者4万人超の人気チャンネル。
小嶋隆三Ryuzo Kojima
歯科医師、株式会社RMG代表取締役。大学卒業後、大学病院などで実績を積み、2013年、29歳のときに個人クリニックを開業。同時に株式会社Ryuメディカルグループ(現RMG)を起業。その後、食の面から健康な生活スタイルをサポートする予防事業にも進出し、2020年にはアスリートのための自然派グラノーラ「パワグラ」を開発、販売を手がける。年間10前後の大会に出場するトライアスリートでもある。
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